<佳作>
「家族が集う広い土問と木組みの家」
木精舎一級建築士事務所+株式会社 大崎材木店
地域ごとの気候風土を理解した家づくり。
環境と風景に溶け込む件まいを目指して。
「十数年前、木造建築の真髄を求め飛騨高山から北陸を旅して、そこで出会った民家の力強さに圧倒されました。繊細な外観の意匠に対し、特に土間の迫力が素晴らしかった。想像をはるかに超える存在感と美しさに、目指す家づくりの方向性をみつけました。その後も各地で、数々の素晴らしい木造住宅、民家に触れ、実感したのが”地域性”。気温差、高低差、豪雪地帯、雨量の多少。地域ごとに異なる気候風土があり、都道府県ごとに全て違うと言っても過言ではないほどです。」
茨城は一部を除き平坦な土地。穏やかな気候の農業県であり、ほとんどの県民にとって田や畑は原風景となっている。「土地には、土地に適した家のあり方が求められます。茨城に古くからある民家形式の直屋や曲がり屋が参考になってくれると思いました。自然の中に溶け込む素朴さ、環境との調和が大切です。生活する中では、風が流れること、また季節によって違う角度からの光の採り方も求められます。家を支える架構をあらわし、その美しさや存在を日々の生活の中で感じることができれば安心感が出ますし、そのためにはシンプルな間取り構成が重要です。これらはすべて、今まで見てきた民家から学んだことです。私の住宅設計の基本的な考え方になりました。」
日本独自の、土地がもつ気候風土を無視しない、特徴的な家づくりに対する実践的な考え方を基にした今回の「広い土間と木組みの家」。施主の理解と共に、施工者、職人達の協力と技術が一体となって完成した、かけがえのない一棟になった。
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